ドイツで結婚すると苗字はどうなる? 2025年から家族姓にダブルネーム使用OKに

国際結婚

ドイツで結婚する場合、夫婦の苗字の選択肢はいろいろあります。夫婦同姓、別姓、ダブルネーム……。2025年5月からは法改正され、苗字の選択肢がさらに広がる予定。子供の苗字についての規定も緩くなります。

結婚後の苗字のバリエーション

結婚

ドイツでは結婚すると、苗字に関して次のような選択肢があります。

  • 夫婦同姓:妻の苗字にするカップルも存在するが、夫の苗字を選択するケースが圧倒的に多い
  • 夫婦別姓:ドイツでは1994年より可能だが、現在でも別姓を選択するカップルは10%台と少数
  • ダブルネーム:どちらか一方が、自分の元の苗字と相手の苗字をハイフン(-)で繋げたダブルネームにできる

夫婦別姓を選択するカップルの数がいまだに少ないとは言え、ドイツでは当たり前にある権利なので、認められるようになったのが1994年とまだ歴史が浅いことにに少し驚きました。

2024年現在、ダブルネームに関して制約がある

ダブルネーム

2024年現在、夫婦間でダブルネームを選択できるのはどちらか一方のみ。もう一方は、自分の元の苗字をそのまま名乗ること、と定められています。

例えばミュラー(Müller)さんとマイヤー(Meyer)さんが結婚する場合、ミュラーさんが「ミュラー・マイヤー(Müller-Meyer)」というダブルネームを選択すると、マイヤーさんは苗字を「マイヤー」のままにすることになります。両方が「ミュラー・マイヤー」と名乗ることはできません。

そして、ダブルネームのそれぞれの苗字の間にはハイフン(-)を入れることが義務付けられています。

また、二人の間に生まれた子供がダブルネームを名乗ることはできません。夫婦別姓や、どちらかがダブルネームを選択しているカップルに子供が生まれた場合、家族姓(Familienname)一つ決める必要があります。

ミュラーさんとマイヤーさんの間に生まれる子供は、親がどのような苗字を選択していても、「ミュラー」または「マイヤー」のどちらか一つの苗字を取ることとされていて、これが家族姓となります。

例1)父親:ミュラー、母親:ミュラー・マイヤー、子:ミュラー(←家族姓)

例2)父親:ミュラー、母親:マイヤー、子:マイヤー(←家族姓)

2025年から、子もダブルネームを名乗ることが可能に

家族

このダブルネームに関して法改正されることが決まっています。2025年5月からは、夫婦の両者ともダブルネームを選択することが可能になり、同時に、子供がダブルネームを名乗ることも認められるようになる予定です。

父親、母親、子供が皆「ミュラー・マイヤー」という苗字にすることがOKになるわけです。但し、苗字を連ねて良いのは原則としてダブルまでで、トリプルネームなどは認められません。

また、親が夫婦別姓を選択している場合、子は父親または母親の姓を取ることに加えて、両方を合わせたダブルネームを取るという選択肢も増えるとのことです。

例)父親:ミュラー、母親:マイヤー、子:ミュラー・マイヤー

これは、結婚していないカップルの間に生まれた子供の場合も同じだそう。ミュラーさんとマイヤーさんが未婚カップルでも、二人の間に生まれた子供はミュラー・マイヤーという苗字を名乗ることができるようになります。

その他、現在ではダブルネームをハイフンでつなげることが義務ですが、2025年5月からは、ハイフンあり・なし自由に選択できるようになるそうです。

そこまで自由に??と、ちょっと驚きます。「ハイフン付けるのは絶対いやだ!」という人もいるのでしょうか……?

ダブルネームを後悔……

パズル

これは、私個人の話です。結婚当時、夫婦別姓は個人的に選択肢になく、昔ながらの「結婚したら家族全員一つの共通した苗字になる」ということに特に疑問も抱いていなかったので、夫の苗字を取る方向で考えていました。が、ドイツにはダブルネームを選択できるという権利がある……。せっかくだし、その権利、使っておくか!という単純すぎる考えで、「私の元の苗字‐夫の苗字」という組み合わせのダブルネームにしてしまいました。

でも日本ではダブルネームは認められていないので、夫の苗字に変えることに。日本の戸籍上は苗字を変えずに旧姓のまま、ということもできたのですが、子供が生まれたらその子供は夫の苗字になり、日本では私と子供の苗字が異なる、ということになります。それは何となく避けたかったので、日本での私の姓はドイツの苗字、ドイツでは日本+ドイツの苗字、という何だかへんてこな事態となりました。

日本での正式な名前がドイツの苗字になったことで、私はドイツにいても日本にいても常にドイツの苗字を名乗ることとなり、それが定着すると、「ドイツの書類上でくっついてるこの日本の苗字、じゃまだな……」と感じるようになりました(苦笑)。苗字が不必要に長いことに加えて(サインするとき面倒)、ドイツ人に名前を伝えるとき、日本の名前の部分はいちいちアルファベットの綴りを言わないと伝わらないので、ひたすら煩わしいです(苦笑)。

普段はドイツの苗字だけを名乗りますが、例えば病院では保険証(日本の苗字も入っている正式バージョンの名前が登録されている)が必要なので、ダブルネームを使わなければならないのです。時と場合によって苗字を使い分けているという感じです。

でも、ダブルネームも悪くないかも……?

単純に面倒くさいという理由でダブルネームを後悔していましたが、最近では自分の日本の苗字が残っているのも悪くないかな?と思うようにもなってきています。

これには、年を取って(?)ふるさとを恋しく思う気持ちが強くなってきているのと、自身のアイデンティティについて深く考えるハーフっ子の子育てを通じて、「自分のルーツ」というものを意識するようになってきていることなどが関係していると思います。

パスポートの表記は

パスポート

そういった心情的なことは置いておいて、もう一度、利便性についてのお話をすると……。

私の名前は、日本の戸籍上はドイツの苗字、ドイツでは日本+ドイツの苗字です。このように正式な名前が二つあることで、非常にやっかいなことになった経験があります。

例えば、私の日本の旧姓が「山田」、夫の苗字が「Meyer(マイヤー)」だったとします。下の名前は「るび」。この場合、結婚後は日本では「マイヤーるび」、ドイツでは「Rubi Yamada-Meyer」と登録されます。

そうすると、日本のパスポートには自動的に「Rubi Meyer」と、日本名のアルファベット表記が記載されることになります。でも、パスポートはドイツで生活する中で身分証明書として使うので、正式なドイツ名(ダブルネーム)も表記されていないと困るのです。その旨を日本でのパスポート申請時に相談すると、姓の欄には「Meyer (Yamada-Meyer)」と記載してくれました。

普段はこれで問題ないのですが、ドイツの銀行で口座を開設しようとした時に、ドイツの役所に登録してある名前(Yamada-Mayer)と、身分証明書である日本のパスポートに記載されている名前(Meyer)が異なることから、本人認証ができないとされ、非常に苦労した経験があります。

その銀行では、パスポートに表記されているカッコ書きの部分「(Yamada-Meyer)」はあくまで補足的なものだから、そこで認証することはできない、とのことでした。

説明したり、再度申請したりもしましたが、結局うまくいかず、その銀行はあきらめるしかありませんでした。

でも、別の銀行では説明したら問題なく処理してもらえたので、普通はこのようなケースでも基本的に大丈夫なのだと思います。

ただ、私は複数の銀行に口座を持っていますが、ある銀行では「Meyer」のみで登録、ある銀行では「Yamada-Meyer」で登録されていて、銀行によって本人確認のやり方が違うようではあります。銀行によって登録名が異なるのもややこしい話なので、口座開設時に統一していれば(そのためにもっと説明をすれば)よかったな、と今では思っています。

もう一度決め直すことができるなら……

今、もう一度苗字を決め直すことができるとしたら、悩みますが、ドイツでは夫の苗字のみ(Meyer)で、日本では旧姓のまま(山田)にするかな?と思います。

家族で揃った苗字にしたい、でも自分のルーツも大切にしたい(若い頃はそんなこと考えていなかったのですが、変わるものですね)、ということで、間の妥協点を取るとこのような結論に達するのかな?という感じです。

国際結婚、苗字一つとっても難しい、というか、ややこしいですね。「あの時(結婚する時)、もっと情報集めをしていろいろ考えるべきだった!」……これに尽きます!

この記事を書いた人
るび

日本から留学でドイツに来て、ドイツ人の夫と結婚して、2人の子供を育てて……あっという間に20数年が経ちました。

子育てはまだもう少し続きますが(終わってほしくない!涙)、子育てが終わってしまう前に、過去のことを振り返りつつ、現在進行形で海外育児について書き留めていきたいと思います。

子供にできるだけ日本語を習得してほしいと思って子育てをしてきましたが、子供そして私自身の負担になりすぎない程度に、ゆる~くやっています。

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