自己主張しないと損する!積極性が求められるドイツの学校

海外子育て

ドイツの学校では授業中の発言頻度が成績に直結します。授業スタイルや成績の基準について深堀していくと、改めて「ドイツの社会では自己主張しない人は不利」だということを実感します。

日本の授業スタイルは講義形式、ドイツは議論形式

学校の授業と言えば、先生が教壇に立って説明をし、生徒は静かに話を聞きながらノートを取る。日本ではそんなイメージですよね。もちろん手を挙げて発言することも授業の構成に含まれますが、基本的には「講義スタイル」だと思います。

でもドイツは違います。積極性が重視されるので、手を挙げて発言すればするほど良しとされ、授業中は盛んに意見が飛び交うようです。議論(ディスカッション)スタイルです。

意見を言いたいときは手を挙げて、先生に当てられたら発言して良い、というルールなのですが、中にはついポンポンと反射的に意見を言ってしまう子もいるようで、そんなときは先生に注意されるそうです。

人差し指

ちなみにドイツでは一般的に意見を言いたいとき、人差し指を上に立てて「発言したい」という合図を出します。

発言の頻度が成績に直結

50:50

ドイツの学校の成績は、科目によって比率は多少違いますが、だいたい筆記テストの点数50%+授業中の口頭の評価50%=総合評価というような基準で決められます。

口頭が半分も占めるというのは、相当重要視されているということです。いくらテストで良い点を取っても授業中に発言をしなければ、成績ダウンに直接つながります。このことを初めて知った時、日本人の私は衝撃を受けました。

ドイツでは自分の意見を言うこと、つまり自己主張をすることの大切さを子供の頃からたたき込まれているわけです。どうりで、ストレートにはっきりものを言う(きつい印象の)人が多いのだな……と納得しました(笑)。

うちの子供たちは二人ともおとなしいタイプなので、自己主張=授業中に発言がなかなかできなくて常に苦労しています。先生たちからはいつも「もっと発言しましょう」とコメントを書かれている状態……。娘は、「もっと発言すれば、今度の成績は1ランク上がるよ(テストの点数はいいけど、口頭が足りない)」と言われたこともあります。

息子は、「(成績を上げるために)いつも手を挙げてるのに、先生は僕を当ててくれない(泣)!」とよく嘆いています。クラスの大勢の子が常に手を挙げる状態の中では、息子は「おとなしいオーラ」でも出ていて先生の目に留まらないのでしょうか……。

でも、ハーフや外国人だけでなく、ドイツ人にだって自己主張するのが苦手な人は当然います。そういう人は苦労することが多いと思うので、なかなか大変ですよね(うちの夫もその一人……かな。苦笑)。

娘曰く、「授業中活発に意見が飛び交うのは、みんな成績を上げるためにやっているだけで、本当は発言なんかしたくないんだよ。おとなしくて人前で意見を言うのが苦手な子も普通にいっぱいいる。」とのこと。やっぱりそうやって、子供の頃から鍛えられていくのですね。

低学年の頃から定期的に発表(プレゼン)の機会がある

プレゼンテーション

今は日本でも、昔よりだいぶ学校での発表(プレゼンテーション)の機会は増えているのかなと思いますが、ドイツの学校で発表は重要な位置づけとなっており、小学校低学年の頃から定期的に行う機会があります。

成績に直接結びつく大事な課題なので、我が家の子供たちは発表前日はいつも、私たち親の前で予行演習。予め用意した文章を読むのではだめで、相手によく伝わるように自分の言葉で話すことが求められるので(内気な子にとっては特に)なかなか難しいと思いますが、こういった経験は人前で話す訓練になり、将来きっと役立つでしょう。

ドイツの学校での発表については、また改めて記事にまとめてみたいと思っています。

「はっきり言うのが普通」とは分かっていても……

コミュニケーション

このように積極性を求められ養われるドイツの学校教育。ドイツ人があまりにもはっきりと意見(異論)を言ってきたり、ストレートに断ってきたりするので、日本人の私は辟易してしまうことも多いですが(苦笑)、ここはそういう社会なのですね。

以前、スーパーでこんな光景を目にしたことがありました。

60~70代くらいの女性がレジの列に並んでいたのですが、少し前との隙間があったのか、別の同じくらいの年代の女性がすっとその隙間に入って前に並んだのです。

最初から並んでいた女性はムッとした表情で(私にはそう見えた)、「みんな列に並んでいるのよ。あなたも後ろに並ばなきゃだめよ。」とすかさず言いました。これを見ていた私はヒヤヒヤしながら、「ケンカが始まる?!」と思って見ていたのですが、後から来た女性は「あら~!私、なーんにも気づかなかったわ!列があったのね~!アッハッハ~!」と言うのです。するともう一人の女性も「そうよ~。列があるのよ~。アッハッハ~!」(笑笑)。

最初にムッとした表情に見えたのは気のせいだったようです(ドイツ人は怒っていなくても怒っているように見えることがよくあります。笑)。

本当にムッとした人同士で言い合いをしている場面もよく見かけますが、このスーパーでの1シーンのように、ただはっきり物事を言っているだけ、それはごく普通のこと、という場合もよくあります。

どちらにしても、はっきりと意見を言える人の方が生きやすい社会だということは、ドイツ生活20年以上の私は常々感じています。

以前はそういったことも含めてドイツでの生活を気に入っていたと思うのですが、今では、日本人同士の柔らかい接し方に癒しを感じることが多いです。これは年のせいなのでしょうか?(笑)

この記事を書いた人
るび

日本から留学でドイツに来て、ドイツ人の夫と結婚して、2人の子供を育てて……あっという間に20数年が経ちました。

子育てはまだもう少し続きますが(終わってほしくない!涙)、子育てが終わってしまう前に、過去のことを振り返りつつ、現在進行形で海外育児について書き留めていきたいと思います。

子供にできるだけ日本語を習得してほしいと思って子育てをしてきましたが、子供そして私自身の負担になりすぎない程度に、ゆる~くやっています。

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